お嬢様 × 御曹司
「あ、」


あちゃータイミングよくきちゃったよ。


「おい聖夜!まじで男ときてたのかよ!」


声を荒げる兄さん。


優笑さんはもうポカンって感じ。


「誰ですか?」


一度ナンパされたことがある私だから、多分また同じようなことだと思って、兄さんを睨んでいるたけくん。


「まってまって!たけくんまって!」


このままだとこの後のたけくんの立ち位置がなくなっちゃう。


面白いからもう少し黙ってみようかも思ったけど、たけくんが可哀想すぎて割り込んだ。


「聖夜の知り合い?」


知り合いどころじゃないね。


家族だね。


「うん兄さん。」


「////////」


その意味を理解したたけくん。


一気に真っ赤になった、たけくんはペコペコと兄さんに頭を下げた。


まあ、見たことないって言ってたし、仕方ないよね。


「俺は、大道寺財閥の御曹司。大道寺 武士と申します。武士と書いてたけしです。」


改まって挨拶をするたけくん。


私は私とたけくんの関わりをそれとなくつけたす。


「たけくんは、農業科の方の次期社長さん。舞踏会で何度か。」


「日野原財閥様には、いつもお世話になって!」


たけくんはさっきの無礼を詫び用として必死。


でも、兄さんはかなり落ち着いてる。


「自分にも好きな人がいるんだから、聖夜に好きな奴がいたっておかしくない。」とか思ってるだろうね。


それに、兄さんならたけくんの立場になって考えて、1番相手がして欲しい対応をするから、しんぱいいらない。


「大丈夫大丈夫。俺はそんなにこわくねーから。それより、聖夜のことはちゃんと守れよな?男として。」


たけくんのことを認めたとも言っていい兄さんの言葉に、たけくんは、


「はい!」


と大きく返事をした。


このままここにいても兄さんの優笑さんの邪魔だし、花火も始まりそうなので、私から切り出す。


「じゃあね、兄さん。」


「誠様。失礼します。」


それにつられてたけくんも挨拶をする。


「おうじゃあな。」


「またね聖夜ちゃん。武士くん。」


優笑さんも名前を覚えてくれて、私たちの名前を呼んでくれた。


たけくんはまた、私の手を掴む。


「いちゃついてんな。」


そんな兄さんの声が聞こえたけど、本当だから、無視して歩く。


たけくんとのなかが、もっと深まったように感じた。

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