お嬢様 × 御曹司

私はどかっと椅子に腰掛けて叫ぶ。


「疲れた！」


「お疲れ様でございました。私が入れた紅茶です。安心しておのみください。」


出された紅茶のいい匂いにお腹がなりそうなのを必死にこらえた。


今は、紅茶だけを堪能する。


私が飲み終えるまで花は話しかけなかった。


これは、私のリラックスする時間を与えるためという花のきづかいだ。


「はな〜！」


「なに？」


飲み終えた私が声を上げると、友達としての花になってから、花はカップの片付けに入る。


ちょうどその時、陸がドレスを持って入ってきた。


「青木様から頂いたドレスです。お召し変えなさいますか？」


今きているピンクのドレスとは違い、レースの少ない大人っぽい水色のドレス。


せっかくいただいたものだし、今日着るのも悪くない。


「うん、着替えるから陸は外で待ってて。」


「承知いたしました。」


陸が部屋から出て行ったので、花は私に話しかける。


もちろん、着ていたドレスを脱がせながら。


「どうしたの？」


これは、さっきの話の続き。


私は一息つくとまくし立てた。


「疲れたの！早く帰ってご飯食べたいケーキ食べたい！兄さんに会いたい！今日クリスマスイブだよ？よくみんな集まってくれるよね！」


私も自分でドレスを脱ぎながら言う。


もちろんそれでも集まってくれている皆様には本当に感謝してるし、執事やメイドだってクリスマスイブなのに私の誕生祭に付き合ってくれてるわけだから、文句は言ってはいけない。


だけどね、文句言わないと私が持たないの！


「はいはい。仕方ないから着替えてね。」


それを否定も肯定もせず、花は聞き流してくれる。


だいたい私が愚痴を言うときは返事が欲しいわけじゃなく、ただ聞いて欲しいだけだということを花はよく理解している。


2着目のドレスに着替えて、ヒールも変えた。


イヤリングは変えないけどね♡


だって、母さんと兄さんからもらった大切な贈り物だから。