お嬢様 × 御曹司
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5日目の朝。


私は6時に自然と目が覚め、辺りを見回した。


この5日間、私は6時に起きている。


だけど、おばあちゃんが布団に寝ていたことは一度もない。


私が起きる前に起きているんだ。


私はむっくりと起き上がり、寝巻きのままでリビングに向かった。


これが、私とおばあちゃんの日課。


「おはよう、聖夜ちゃん。」


「おはようおばあちゃん。」


花も聖も、多分臼井さんも起きてない時間に、私たちは内緒で起き上がって、ラジオ体操をする。


おかげで、私は目覚めも良くなったし、おばあちゃんとくだけた会話までできるようになった。


「今日が最終日だね。」


「うん。…また、来てもいいですか?」


ここになら、何度でも来たいと思った。


おばあちゃんは笑顔で答えてくれた。


そして、私を抱きしめる。


「もちろんだよ。聖夜ちゃん。」


私も嬉しくて、おばあちゃんを抱きしめ返した。






扉の影から中を覗く3人。


それは武士以外の3人である。


「わかりましたか?私が初日に言った理由が。」


「「はい。」」


花と聖は即答した。


彼らの目つきも、この5日間で変わったと臼井は思っている。


「私たちが、手を貸しすぎてはいけないんですね。我慢というのは、主人に任せる時間を増やすこと。…若い私たちは、それがわかっていなかった。」


「なんでもしてあげるのが執事やメイドの役割ではない。できることは主人に任せて、サポートに徹する。」


二人は臼井を見た。


「「それが、私たちの役目。」」


それを聞いて、臼井は満足そうに頷いた。


「それが、あなたたちの答えなら。」


それもまた、二人の心を揺さぶる言葉だった。
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