お嬢様 × 御曹司
…はっきり言おう。


心の中だし問題ないよね!ないよね!


よし、じゃあ私は叫ぶぞ!


超つまらない!


なんでか話も合わないし、私が話してても上の空だし、いっつもソワソワしてるし、話してくれる内容もつまらない。


それに頭は悪いし計算はできないし。


ましてや運動神経もなければナルシストってどう対処すればいいのよ!!


「次、どうします?」


でも、誘いに乗ったからにはちゃんとしなくちゃなぁ。


あーあ、誰が来るんだか聞いておくべきだったかもしれない。


「つ、次、あれに行きません?」


ゆびさしなのは観覧車。


否定も肯定もしていないのに自分の都合で私の手を取り走り出すこいつについついイライライラする。


いけないいけないと思ってもだめって心が勝たないから、イライラが出ちゃって全然ダメ。


あーあ、めんどくさい!


こんなことになるなら、たけくんと二日間デートしてればよかった…ん?


観覧車って言った、この人。


それでって二人きりになるってことじゃないの。


あれ、そういえば出かける前に花が…





「二人きりになんてなっちゃだめだからね!わかってると思うけど!」


どうして?と私がとうと


「あのね!彼氏いるのよ!しかもまあ2人の間でだけだけど婚約者でしょ?他の男と二人っきりになるなんて浮気したのと同罪よ!」


何を熱くなってるんだか。


そう思ったけど、次の言葉でその考えも吹き飛んだ。


「何かされたらどうするの。」


何かとはよくわからなかったけど、それがどれだけまずい状況気なるかは、怒鳴るより恐ろしい花の冷酷な目を見て理解できた。




私は掴まれていた腕を振り払って立ち止まる。


彼は驚いたように目を見張った。


「ごめんなさい。あなたと観覧車には乗れません。」


「ど、どうして?」


困惑した彼の顔。


なぜか私はそれが演技にしか見えなくなっていた。


「男の子と二人きりなんて嫌ですわ。」


はっきりと笑顔で断った。


なめられないように、お嬢様らしく。


日野原のこと言えども、こんな馬鹿げたお遊びに付き合ってられるほど、私の心は広くない。


私は女の子の友達が欲しかっただけで、悪いけど、こんな子だと思ってなかったんだから。


「な、何を言って。」


「ごめんなさい。私帰りますわ。」


踵を返して登ってきた階段を降りる。


もう、付き合ってられない!


その手を力一杯引っ張られて苦痛に顔を歪めると、怒ったような興奮したような彼の顔。


「君は、観覧車に乗るんだよ。」


背中に寒気が走った。


何こいつ!


なんかおかしい。


「ね、やめて!」


そう言っても聞く耳を持たず、私を引っ張っていく。


本能が彼を拒絶する。


観覧車に乗っちゃいけない!


「いや!」


もうすぐそこに観覧車が来て、彼が乗り込んだ。


私も腕を引っ張られて…


-グイッ
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