お嬢様 × 御曹司
「違うよ、私が悪いの!」


「俺が悪いんだよ!」


「私よ!」


「俺だってば!」


「私!」


「俺!」


そう叫びあってから、子どもっぽいなと思って、2人同時に吹き出した。


あんなに言い合った後なのに、前よりたけくんと近づけた気がする。


笑いが収まると、たけくんが後藤さんに電話して車で迎えに来てもらうことに。


「迷惑かけてごめん」と言うと。


「ほんとですよ。」と笑いながら冗談をかえされた。


我慢我慢で付き合ってても、何も始まらない。


それに、スマートフォンとかを使ってのコミュニケーションじゃ、伝わらないことのほうが多すぎた。


ちゃんと、今度からは会って話して、どうしたらいいかたけくんに相談しよう。


「行こうか。」


たけくんが先に立ち上がり、差し出された手。


元気に返事をして、躊躇なくその手を掴む。


今日、何度もつかんだ彼の手とは違い、たけくんの手はやっぱり心地よい。


「ずっと、隣にいてね?」


不意に、歩きながらそう呟いた。


どうしても、言いたくなったから。


恥ずかしくてそっぽを向くと、たけくんは真面目に答えてくれた。


「一生、隣にいるよ。聖夜。」


思わず彼の方を向くと、彼も顔を赤くしていた。


その彼が愛しいと思う。


可愛いと思う。


かっこいいと思う。


そして私は思う。


私は、これが私の一番の幸せだと。
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