お嬢様 × 御曹司
「ちょっと待ってて。」


私を車に残して、思い出したように遊園地に行ってしまうたけくん。


何が何だかわからないけど、言われた通り待ってよう。


「申し訳ありません、聖夜様。武士様が飛んだご無礼を…」


そういえば、後藤さんとは話したことがなかったっけ？


誘拐事件の時に暴力団をまとめてぶちのめしたのもこの人だったよねー確か。


噂で聞いたんだけど、元暴走族だったとか？


その力を買われて執事になったんだっけな。


以外と要領もいいらしいし。


「構いません。武士様ですから。」


「そう言っていただけると私どもも嬉しい限りでございます。」


話が途絶えそう。


じゃ、ずっと気になっていたことを本人に聞いてみようかな？


「後藤さんは武士様の執事なのですか？」


「いいえ。違います。奥様、つまり武様のお母様の執事でございます。」


「そうなんですか。」


やっぱり、たけくんにはまだ執事がいないんだ。


それにしても、たけくん遅いなぁ。


私は、たけくんが走っていった方向をずっと、ずっと眺めていた。
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