お嬢様 × 御曹司
「いいじゃんいいじゃん!意外と手先が器用なのね〜聖夜って。」


い、意外とは余計!


料理もしたことないし、お菓子なんてもってのほかだったから、心配だったけど、なんとかうまくいってよかった。


さすがパティシエ希望の先生がいたからよかったよ。


教え方がよかったんだね〜。


「あとは焼くだけっと。」


「私がついてるんだから、失敗しないよ。」


そう言いながら部活の後輩達のためにゆうちゃんが作っているのは、えーっと、なんて言ったかな?


「トリュフショコラ。覚えなよねー。何回言わせるのよ。トリュフショコラ。」


私にクッキーの作り方をわかりやすく教えつつ、自分のお菓子は丁寧に作業して、プロが作るみたいな完璧なトリュフショコラを完成させている。


味見させてもらったけど、本当に美味しかった。


私が作れるようになるには何年も修行しなきゃ無理な味。


いや〜さすがゆうちゃん。


「でも、本当に塩クッキーでよかったの?」


私は頷いた。


今回私が作ったのは普通のクッキーじゃなくて、塩味のクッキー。


本当は私も、甘いものが好きなんだけど…


「たけくん、前に甘いもの得意じゃないって言ってたから。」


たけくんは優しいから、私の作ったものならなんでも食べてくれると思う。


きっと、口に合わなくても、「美味しい。」って言ってくれるに違いない。


でも、それじゃあ私が嫌だから。


「へーそうなんだ。」


ニヤニヤと微笑むゆうちゃん。


本当に、花と一緒で恋愛話が好きなんだから。


「ゆうちゃんも、好きだった先輩と同じ高校行くんでしょ。」


「あ、うん。合格したしね。」


さらっと言ったけど、一瞬戸惑ったように顔を赤くしたのを私は見逃さなかった。


ゆうちゃんと同じくパティシエ希望の男の先輩が剣道部にいたんだって。


なんでも幼馴染らしく、中学生と高校生の間柄になっても交流は続いていて、勉強も見てもらったのだとか。


ちなみにだけど、その高校は私立校なので、県立を受けないゆうちゃんは他の人より今の時期はゆったりできるのだとか。


「ゆうちゃんから告白するの?」


「えー!無理無理無理無理!乙女にそんな勇気ないよ…」


真っ赤になって首を振るゆうちゃんは、自分で言った通り、乙女そのもの。


てか、あなたの名前勇輝なのに。


「それだけは特別なんでしょ、チョコレート。」


すると動きを止めてうつむき目に頷いたゆうちゃん。


観念したみたいだ。


「頑張ってね!」


「ひ、人ごとだとおもってぇ!」


-チンッ


丁度良く、レンジがなった。
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