お嬢様 × 御曹司
そう。


年を超えて今は2月。


まだ冬の寒さが肌をピリピリさせる。


私は急がなくちゃいけないけど、ゆっくりと街を見渡してあるっていた。


2年なんの中で、本当にいろんなことがあったな。


たけくんと出会って、たけくんと付き合って、たけくんと喧嘩して、たけくんと笑いあって…


手に持った紙袋を見るたびに緊張して、少し顔がこわばる。


初めての手作りクッキー…どんな反応するだろう?


「幸せな1年だったな。」


白い息が宙をまい…消える。


歩くたび、ブーツの音が聞こえる。


私は振り返る。


これが、私の軌跡。


ここが、私の居場所。


もう、泣き言なんてはかない。


身分なんて関係ない。


普通なんてただ、人々が作った逃げ道だ。


普通は、人それぞれでいい。


人と人とを想いあえれば、それでいい。


それは、恋だけじゃなくて、兄弟愛も、家族愛も、友達との愛も。


その心が、生きる上で、一番大切なこと。


時計台の前に着くと、やっぱり彼が笑ってこちらに手を振っていた。


私は思わず笑顔になり、駈け出す。


雪が降りそうな天気だということもあり、昨年ほど人は込み合っていなかった。


それみよがしに彼に抱きつく。


持っていた紙袋が、音を立てて揺れた。
< 159 / 161 >

この作品をシェア

pagetop