お嬢様 × 御曹司
一瞬誰?と思ったが、すぐに思い出した。


「森様!ごきげんよう。またお会いできて光栄ですわ。」


腰を90度曲げ挨拶をする。


森様にはこの挨拶で十分。


「ほっほっほ。嬉しい限りですな。おや?このあいだの執事はいないのですかな?」


前より少しだけ伸びたヒゲを触りながら森様は問う。


少し、目が光った気がしたんだけど…気のせいかな?


「えぇ。でも他の執事はあらゆるところにおりますから。心配ありませんわ。」


ちょっとカマをかけてみる。


ボロが出ればいいなぁ、なんて。


「私服警察官みたいですな。よろしいよろしい。聖夜様の無事が一番ですから。」


「ありがとうございます。良い大晦日を過ごしましょう。」


そう言ってその人から離れる。


なんとなく、森様には裏がありそうな感じだ。


女の感としか言えないけど、私の間はよく当たる。


まあ、今の所は大丈夫かな?


でも、何も起こっていないのに私が気にかけているわけにはいかない。


早く切り替えないと。


一区切りついたところで、壁にもたれかかり花のくれたオレンジジュースを飲む。


今回は私が使える準備室がないから、仕方なくみんなのいる場で食べ物を口にしなくてはならない。


花は他のメイドに呼ばれ少しの間席を外した。
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