お嬢様 × 御曹司
「今日はいつもの執事さんいないの?」


キョロキョロ辺りを見渡して、多分この間私の後ろにいた陸のことを探している。


多分、花がいない理由はたけくんの執事さんと同じ理由だったから、そこには触れなかったんだろうね。


私はたけくんと同じように壁にもたれかかって立つ。


さすがにヒールは疲れるもんね〜っだ!


「今日は来てないの。兄さん専属の執事でね、あの時はたまたま…」


「え?それ、誰かに話した?」


いきなり険しい顔になって私を見る。


え?そんなに驚くこと?


その険しさゆえにただ事じゃない気がして、とっさに壁によりかかるのをやめてたつ。


空気を読むのも大切だし。


でも、たけくんの表情の変化についていくのはなかなか大変そうだけど、面白い。


そこがまた私の一目惚れポイントなんだけどさ。


「そういえば、森様っていう知り合いに話した。聞かれたから。」


「それだけ?」


「そう、それだけよ。あとたけくんにも話したけどね。」


「気をつけたほうがいいよ、聖夜。」


たけくんの言葉に大きく目を見開いて、固まってしまった。


キヲツケル?気をつける?何に?


でも、笑って済ますような話じゃないことはたけくんの表情でわかる。


でも、直接的被害を与えられたわけでもないのに…。


わけがわからなくて、何秒かたってから、


「どうして?」


と聞いた。


壁に寄りかかっていたたけくんが立ち上がって話し出す。
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