お嬢様 × 御曹司
「…と、簡単にいうけど、一筋縄ではいかないね、まず大きな問題が一つある。」


いきなり脱走計画が進行しつつあることに驚きと嬉しさを隠せない私。


たけくんはそんな私のことは気にせずに、スラスラと事実を述べ始めた。


「まず一つ目の問題。聖夜、乾杯挨拶やるんだろ?着替えの時間とかあるんじゃないの?」


やば、忘れてた!


なんて言葉は声に出なかったので、この際言わなかったことにしよう。


忘れてただけでたけくん怒りそうだし、花もカンカンだろうからね。


「えっと…確か23時に着替えを始めて、23時55分から壇上に上がって挨拶。カウントダウンからの0時00分に乾杯の合図打って終わり。」


つまり私は例年通りなら何もすることなく23時までこの会場で愛想笑いを浮かべていなくてはならなかったのだ。


たけくんがいてくれて良かったと思う。


だって…12時間以上1人で過ごすのは、誰だってつらいでしょ?


私だから特別とか、そういうのないもの。


「まだ14時だし、大丈夫だろう。うん。時間の面は問題ないね。」


私は、彼の言葉に笑顔で頷いた。

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