お嬢様 × 御曹司
そんなわけで。


会場の入り口付近にまで移動してきた私たち。


ここまでくるとほとんど人がいない。


いるのは、不審者が入ってこないように見守っているガードマンが2人。


いつもは頼りになる存在だけど、今の私達からすると邪魔な存在でしかない。


だって、せっかく脱走するのに、ガードマンに見つかったら保護されかねないからね。


しかも、私日野原財閥のご令嬢という立場だし。


「どうしよう…」


「…」


たけくんも、こればっかりはどうにもならないみたいで、険しい顔でガードマンを睨んでいる。


その睨んでいる瞳もかっこいい。


って!こんな時に何考えてるのよ!


「…裏口ってないんだっけ?」


不意にたけくんが口を開く。


裏口…そう言われて思い浮かぶ場所と言えば、うーん。


何度も来たことのあるこの会場を思い出す。


…てか、日本のお偉いさんたちがよく集まるこの会場に、裏口なんてあったら不審者入り放題じゃん!


「ないね。」


「万事休すか…」


困った顔で眉をへの字に曲げる。


この会場は、安全性100%だ。
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