お嬢様 × 御曹司
「悪い。お手洗い行ってもいい?」


「え?あぁうん、もちろん。」


「いや、でも怖いなぁ…」


「こんなところに人なんか来ないよ。」


「それがまた怖い。」


そう言いながら顔をこわばらせるたけくん。


でも、トイレに行けないのはかわいそうでしょ。


「あ、そうだ。ここだけの話なんだけど、私、誘拐とかされやすいから、GPSがついてるものをめちゃくちゃ身につけられるのよ。」


「それで?」


私はスマホを取り出して、あるアプリを起動させた。


これは、陸が作ってくれたもので、私の居場所が特定できるアプリ。


なんてものを作るんだか、あの人は。


「これをLINEで送るから、誘拐されたってあなたは私の居場所を見つけられる。」


「…いいの?これを俺にくれたら、聖夜の居場所は俺に筒抜けだよ?」


心配そうに聞くたけくん。


もちろんたけくんのいうとおりだ。


危険なことだとも承知してるし、このアプリを他人に渡すことは陸に禁じられている。


それでも、彼が安心するなら、そのリスクを追おうとも私は構わない。


「大丈夫。私は、たけくんを信じてるから!ね?」


「分かった。絶対待っててよ!」


そう言って彼はこの場を後にした。


私は笑顔手でを振って、彼を送り出した。
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