お嬢様 × 御曹司
言葉に詰まる後藤。


返答に困っているのだろうか?


一息つき、諦めたように話し出した。


「また、暴力団とのつながりがあるそうです。」


俺が考えていた言葉とは正反対のワードが飛び出した。


暴力団…思わず顔が青ざめる。


「聖夜様がどのような立場に置かれているかはわかりませんが、恐らく、聖夜様を見張っているのは森様本人でしょう。しかし…」


その部屋を守っているのは、40人を超える暴力団の可能性が高い。


急いで出てきたため、後藤通れしかこの車に乗っていない。


圧倒的不利…か。


チッ竹刀でもあれば…


「ご安心ください。暴力団は私が相手をさせていただきます。」


カチャリと眼鏡をかけ直す後藤。


それに合わせ、ペロリと唇を舐めた。


…やばい、本気だ。


いや、この際暴力団の心配をするのはよそう。


救急車が何台くれば足りるのだろうか?


「頼みます。」


「もちろんです!」


後藤に任せれば暴力団を死なない程度にボコるだろう。


しかも今とてつもなく笑顔だし…たまにはストレス発散させますか。


窓の外を見る。


そろそろつくはずだ。


俺は聖夜を助け出すことに専念しよう。


それが先決だ。


なにより、早く、聖夜を助けないと!
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