お嬢様 × 御曹司
《聖夜 SIDE》


…ん?


私は耳をすませた。


あの後犯人に永遠と世間話を聞かされ続け…飽きた!


中学1年に政治の話とかしてんじゃねーよ!


選挙権がどうのとか外国のレートがどうのとか、石油の話とか財閥の話とか…


あと堂々と私の目の前で飯食うな!


こっちは喉乾いて死にそうなのにぃもう!


というイライラの状態の中、今まで聞こえなかった車の音が聞こえた。


誰か、きたのかな?


それが敵か味方かで私の立場も大きく変わる。


味方なら、どのくらいの人数かも。


でも、犯人は話に夢中になって車が来たことに気づいていない…いや。


もしくは、信頼の置ける誰かが下にいるから気がつかないふりをしている。


ここが二階だということはわかっている。


窓のわずかな光から木の葉が見えたから。


それに飛んでいく鳥の影も時々うつったし。


「チッ。」と心の中で舌打ちをした。


単独犯じゃなかったのか。


確かに一階からは物音さえ聞こえなかったものの、物々しいオーラが漂ってる気はしていた。


何か暑苦しいような感じのオーラ。


決していい人たちではないだろう。


…もし、たけくんが助けに来てくれていたとしたら。


下にいる人たちにやられたりしないかな⁈


それを想像して青ざめる。


たけくん、大丈夫かな?
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