お嬢様 × 御曹司
-ガチャ…バン!


全く隠れるつもりがなく堂々と扉をぶち破って入ってきたのは…


たけくん!


汗だくのまま、私を見つけ、目を大きく開く彼。


「なーんだ。聖夜様のお父様じゃないのか。残念。」


たけくんは犯人を睨んでいた。


と思うと、すぐに笑顔になって犯人に笑いかける。


間違いなくいい笑顔ではない。


悪魔のような笑みだ。


「声を変えなくて構いませんよ。森様。」


…森様?


私は犯人を見上げる。


彼はパソコンを投げ捨て、仮面も取る。


まぎれもない、森様だった。


「足がつくのが早いね。下にいる暴力団はどうした?かなりの数いたと思うが…」


「何を仰いますか?あんなの力も頭脳もないただの寄せ集め暴力団ではありませんか。失礼、つい本音が。」


そう言って後から現れたのは、たけくんの執事の人。


完全に失礼なんて思ってない。


むしろ仕組んでやってる。


あの人の名前知らないけど。


そして、あからさまに森様が焦ったのがわかった。


「お前、あの数をどうやって…!」


適当に執事さんは鉄パイプを振り回す。


パスッと音を立てて振り回していた鉄パイプをとり、メガネと眼鏡の奥の瞳が同時に光らせる。


「さて、どうやってでしょうか?」


しかもその執事さんはまったくスーツを着崩れさせず立っている。


しかも無傷だ。
< 59 / 161 >

この作品をシェア

pagetop