お嬢様 × 御曹司
そのあとは警察と救急車が来て、執事さんは事情聴取、たけくんは私に付き添って病院へ向かった。


暴力団・森様ともに逮捕された。


私は検査の結果、特に何も異常はなかった。


強いて言えば脱水症状?


それも軽度のものだったから大丈夫。


時間は22時を回っていた。


「無事で何よりです。聖夜様。」


会場から車を飛ばしてきた花は目を真っ赤にして私のところに来た。


どれだけ心配をかけたのかは、その顔を見れば一目瞭然だった。


自分の甘い考えが多くの人に迷惑をかけてしまったことも理解した。


もう、心配をかけちゃいけない。


「すみません。迷惑をかけました。この通りです。」


私は深々と頭を下げる。


花以外に駆けつけた数人の執事やメイドの戸惑う声が聞こえてきた。


「本当に申し訳ないことをしました。私の無責任な行動のせいで、ただいなる迷惑をかけてしまったこと、深く反省しています。」


何かを言おうとしたメイドを、花が手で静止したのが見えた。


花は、わかってくれてる。


私は胸をはって頭を上げた。


「大道寺 武士ですが。私が無理やり付き添わせました。彼に責任はありません。むしろ、私を助けてくださった命の恩人です。どうか攻めないでください。」


私も彼のように、まっすぐに、前を向こう。


私を笑う人は、いないんだから。
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