お嬢様 × 御曹司
そう、思ったのに…。


「どうしたの!」


オロオロとせわしなく手を動かすたけくん。


あぁ、もう。


君は君だね。


君が私のことを嫌いでも、私は君が好きなんだよ、たけくん。


「あ、れ…」


ごめん、なんでだろ?


今は涙が止まらない。


さっきまでの楽しい時間が、嘘みたい。


ごめんね、台無しにしちゃって。


自惚れてたことは否定しないし、するつもりもない。


あーあ、2日間でここまで仲良くなれたのが奇跡に思えるよ。


「ごめん。聖夜、俺何した?」


たけくんが、頭をポンポンと撫でてくれる。


その温かい手が心地いい。


でもお願い、お願いだから今、優しくしないで。


私は、クリスマスの日に一目惚れして、昨日、君と急に近づいて、今日失恋したんだよ。


心が、全然ついていってないんだと思うから。


「聖夜…」
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