お嬢様 × 御曹司
-ガバッ!


私は飛び起きた。


気づけば自分のベットのなか。


また兄さんが運んでくれたんだな。


そんなことを考えていれば、朝の夢なんて忘れると思ったけど、やっぱり夢の内容は抜けない。


…久しぶりに見たな〜、あの時の夢。


人間不信になりかけた、一昨年の修学旅行。


というかもう人間不信だったよね。


花と陸と家族しか話さない。


でも、仕事だと割り切って、パーティには参加し続けた。


たけくんが聖夜と呼んでくれて、日野原の子だからではなく、本当の私を見てくれていたことが何より嬉しかった。


でももう、わかったから。


彼が、私を嫌いでも一緒にいたってことが、わかったから。


たけくんも多分、私を日野原のことしてでしか、見てないんじゃないかな?


涙を貯める貯水タンクはもう空っぽ。


どんなに虚しくても、心が痛くても、タンクに水がないのなら、水は出てこない。


時計で時間を確認し、起き上がる。


1月2日 午前5時。


寝たのは昨日の午後5時だから、12時間寝ていたことになる。


ずいぶん寝た。


隣の部屋の兄さんを起こさないようにドアを開けて一階に下りる。


4日の日まで執事もメイドも帰ってこない。


久々の連休だろうし、里帰りだって何年ブリとかいう人いるんじゃないかな?


いつも迷惑かけてるから、今ぐらいはゆっくり過ごしてほしいな。


冷蔵庫から牛乳を取り出し温める。


さすがに朝は家の中でも冷える。


そしてまた、あの日の彼の手のぬくもりを思い出するだ。
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