お嬢様 × 御曹司
「ご登場いただきましょう!本日の主役。日野原財閥のお嬢様、日野原 聖夜様です!」
パチパチパチパチパチパチパチ!
パチパチパチパチパチパチパチ!
大きな拍手に包まれ登場した私は、いつものように愛想笑いを浮かべて、もう一度頭を下げた。
司会の方が私に手を差し出す。
目の前にあるスタンドマイクで話せということだろう。
心の中で一息ついてから、私は、仕事モードに切り替えた。
「みなさま、本日は私(わたくし)の誕生祭にご出席いただき、誠にありがとうございます。日野原聖夜の13歳の誕生日に皆様にお集まりいただきましたことを、とても嬉しく思います。本日の誕生祭は20時までとなっております。みなさま、ぜひお楽しみください。短いですが、挨拶とさせていただきます。」
ゆっくりと90度のお辞儀をすませる。
パチパチパチパチパチパチパチ!
パチパチパチパチパチパチパチ!
また、会場に拍手が起こる。
「聖夜様、ありがとうございました。」
私はまたゆっくりと頭を上げて、アンティークの高そうな椅子に腰掛けた。
「お越しいただいた方の中で聖夜様にプレゼントをお渡しされる方がいらっしゃいましたら、日野原財閥の紋章をつけている執事、またはメイドか、受付に渡されよう…」
椅子に座ってもなお背筋を正す。
礼儀作法は、すべて小学生の時に母さんから教わったものだ。
だから絶対、忘れない。
「…それでは、誕生祭をお楽しみください。」
司会者からの注意事項についての話も終わり、会場はすぐに賑やかになる。
酒を飲む人、久しぶりに再会し話し出す人、一直線に私に挨拶すべく向かってくる人。
どの人たちも、私に気に入られて、父さんにも気に入られて、早く出世したいのよね。
もしくは、私とあなたたちの息子の誰かを願わくば結婚させて、自分が会社の頭になりたいのよね。
中学生ともなれば、そんな大人たちの見え見えな態度に、呆れることがない方がおかしいだろう。
私は立ち上がり、壇上から降りた。
それでも私は、父さんの名に恥じぬよう、この人たちに振舞わねばならないんだ。
気合を入れろ、私!
「ごきげんよう、聖夜様。」
ヒゲズラの50代前後の男が一番に声をかけてきた。
私の一歩後ろには、パーティー用のメイド服に身を包んだはなと、ピシッとスーツを着こなした兄さんの専属執事の陸がいる。
怪しい奴だと思えば、2人が私を守ってくれる、というわけだ。
「ごきげんよう。昨年も出席くださいました、森様ですよね?いつものお父様がお世話になっております。」
私は頭を軽く下げた。
勉強のとき言ったけど、私は記憶力だけは人一倍いい。
顔と名前は一度聞けば絶対に忘れない。
「頭をお上げください!お世話になっているのはこちらなのですから。」
パチパチパチパチパチパチパチ!
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大きな拍手に包まれ登場した私は、いつものように愛想笑いを浮かべて、もう一度頭を下げた。
司会の方が私に手を差し出す。
目の前にあるスタンドマイクで話せということだろう。
心の中で一息ついてから、私は、仕事モードに切り替えた。
「みなさま、本日は私(わたくし)の誕生祭にご出席いただき、誠にありがとうございます。日野原聖夜の13歳の誕生日に皆様にお集まりいただきましたことを、とても嬉しく思います。本日の誕生祭は20時までとなっております。みなさま、ぜひお楽しみください。短いですが、挨拶とさせていただきます。」
ゆっくりと90度のお辞儀をすませる。
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また、会場に拍手が起こる。
「聖夜様、ありがとうございました。」
私はまたゆっくりと頭を上げて、アンティークの高そうな椅子に腰掛けた。
「お越しいただいた方の中で聖夜様にプレゼントをお渡しされる方がいらっしゃいましたら、日野原財閥の紋章をつけている執事、またはメイドか、受付に渡されよう…」
椅子に座ってもなお背筋を正す。
礼儀作法は、すべて小学生の時に母さんから教わったものだ。
だから絶対、忘れない。
「…それでは、誕生祭をお楽しみください。」
司会者からの注意事項についての話も終わり、会場はすぐに賑やかになる。
酒を飲む人、久しぶりに再会し話し出す人、一直線に私に挨拶すべく向かってくる人。
どの人たちも、私に気に入られて、父さんにも気に入られて、早く出世したいのよね。
もしくは、私とあなたたちの息子の誰かを願わくば結婚させて、自分が会社の頭になりたいのよね。
中学生ともなれば、そんな大人たちの見え見えな態度に、呆れることがない方がおかしいだろう。
私は立ち上がり、壇上から降りた。
それでも私は、父さんの名に恥じぬよう、この人たちに振舞わねばならないんだ。
気合を入れろ、私!
「ごきげんよう、聖夜様。」
ヒゲズラの50代前後の男が一番に声をかけてきた。
私の一歩後ろには、パーティー用のメイド服に身を包んだはなと、ピシッとスーツを着こなした兄さんの専属執事の陸がいる。
怪しい奴だと思えば、2人が私を守ってくれる、というわけだ。
「ごきげんよう。昨年も出席くださいました、森様ですよね?いつものお父様がお世話になっております。」
私は頭を軽く下げた。
勉強のとき言ったけど、私は記憶力だけは人一倍いい。
顔と名前は一度聞けば絶対に忘れない。
「頭をお上げください!お世話になっているのはこちらなのですから。」