お嬢様 × 御曹司
-ピコン


ん?


スマホの画面には、[勇輝]の文字。


イヤホンをしてスマホを持って降りてきたから、兄さんには気付かれてないだろな。


そう思いながらソファの端っこに丸まり、LINEを開く。


[おはよう!]


ゆうちゃんらしく、短い文。


私もおはようと打とうとすると…


[朝早くにごめんね!イヤーまさか起きてるとは思わなくてさぁ。]


打つのが早いゆうちゃん。


既読がついたことに驚いたんだろうな。


…あ、そういえば、たけくんのLINEの画面に[勇輝先輩]って書いてあったっけ。


たけくんはゆうちゃんとLINEしてるから打つのが早かったのか。


「ふふふ。」


そう考えるとおかしくて笑いが溢れる。


でもそれと同時に、私の乾いた心が涙を流す。


そんなこんなでまた返事をするが遅れちゃった。


[そんで、話なんだけど…今日どっか出かけない?]


「…はい?」


昨日のことを聞かれたりするのかなぁと思ってたから拍子抜け。


でもすぐに考え直してテンションが上がる。


友達と出かけるのは初めてのことで…。


乾ききった心を、私は無理やり躍らせた。
< 90 / 161 >

この作品をシェア

pagetop