お嬢様 × 御曹司
兄さんに私の考えはお見通しだったらしい。


実は、朝ごはんも朝シャンもおわして、残すところ服のコーディネートだけだった。


私の部屋に私よりも先に入ると、クローゼットとタンスの中身を眺め、見てる方はテキトーとも言えるぐらい簡単に服を選んだ。


何も言っていないのに、昨日とは違って動きやすくポップな感じ。


しかも今日の兄さんは気持ち悪いほど私に優しい。


「あ、ありがと…」


「ん。」


半分寝ているようだけど、丁寧に髪までセットしてくれた。


女嫌いのくせに、私には優しい瞳の兄さん。


私は知ってる。


その瞳の先に写っているのは、私じゃなくて…多分姉さんなんだよね。


ま、兄さんに聞いてみたことはないし、聞こうとも思わないけど。


「じゃ、行って来ます。」


ただいま9時ジャスト。


兄さんの朝ごはんも作っておいたから大丈夫。


「行ってらっしゃい、聖夜。」


聖夜と言ってもらえたのが、なぜかその日はたまらなくうれしかった。


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