お嬢様 × 御曹司
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「いらっしゃい、また来てくれたんだね。」


「…こんにちは。」


今は、あと数日で2月を迎える1月の終わり。


冬休みはとうの昔に開け、もう三学期。


相変わらず学校の友達はできないけど、ゆうちゃんとの友好関係は良好。


気に入った雑貨屋さんには度々訪れるようになったの。


それはもう、顔を覚えられるくらいにね。


今日は何を買おうかな?


普通、私は一人で出かけることを許されないから、今日は私服の花が店の前で待っている。


「今日は、お友達は一緒じゃないの?」


おっとりと優しく話しかけてくれる。


私、始め出会った時アルバイトさんだと思ってたんだけど、驚いたことにこのお店の店長さんだったの!


私はそのおっとり感が好きなんだ。


「はい。今日は剣道の大会とかで。」


「そう。さて、今日は何をお探しですか?」


店員さんは小首を傾げて問う。


最近はこのパターンが三連続だ。


「特に買うものもなくきているわけだから、探してるものはないんです。おすすめはありますか?」といつもなら聞くのだけれど、今日は違う。


「友達に、プレゼントしたいんです。」


ゆうちゃんの誕生日は2月1日。


そのために、プレゼントを買うことにしたんだ。


「それはいいわね。」


「でも、何がいいかは決めてなくて…」


そう言うと、すぐに何かを持ってきてくれた。


手の中には、馬のぬいぐるみストラップ。


真っ赤なチェック色で5センチくらいの大きさだった。


このお店は、本当に可愛いものが多いんだから!


「これね、運気の上がるストラップなの。赤のチェックは…えぇっと。」


わからなくなったのか、紙を持って来て確認する。


おっちょこちょいなのも最近わかった。


「強さの運気が上がるわ。ちなみに、青が学問。緑が健康。ピンク色が恋愛。黄色が金銭。ええっと、茶色が優しさ。」


そう言って可愛らしく笑う店長さん。


「ありがとうございます。これにします。」


「はい。………円になります。ラッピングは無料でーす。」


「あはは。」


わざとらしく言った彼女につられて笑う私。


最近は、笑っていても愛想笑いが多いから困るんだ。




あの日から、たけくんとはなんのつながりもない。


LINEもないし、直接連絡もない。


やっぱり私のことが、嫌になったのかな?

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