お嬢様 × 御曹司
「こんにちは〜」


誕生日の日、私はゆうちゃんの家にやってきた。


お店のドアを開けて中に入る。


「こんにちは、聖夜ちゃん。勇輝は二階にいるから、勝手に上がっていいわよ。」


「はい。お邪魔します。」


友達の家に上がるって感覚も、最近わかった。


いつもゆうちゃんの家にお邪魔してばっかりだから、今度は私の家にゆうちゃんを呼ぼう!


階段を上って突き当たりにゆうちゃんの部屋がある。


「入るよー?」


ノックしてから声をかけて入る。


ゆうちゃんの部屋は、イメージとかなり違うんだ。


マカロン型とクッキー型のクッションとか、ピンク色のベッド。


机の前に貼ってある写真は剣道の写真ばかり。


本は、パティシエに関係するものがざっと20冊ぐらい。


どこをどう見ても女子剣道全国1位の部屋には見えないよね。


「いらっしゃーい!」


「ゆうちゃん。お誕生日おめでとう!」


早速私は買ってきたプレゼントを渡す。


実は、ゆうちゃんは見かけによらず可愛いもの好きなのです。


だから、私の選んだクマのストラップを見ると…


「うわ!可愛い可愛い可愛い!えーやばい!」


こうなるわけです。


と言いますか、やばいって。


「よかった気に入ってくれて。」


私がそう言ってようやく座ると、ゆうちゃんは満面の笑みで頷いた。


「ほんと、気に入った!でも、聖夜のくれたものだったらなんでも嬉しいよ!」


…そっか。


私も、もし誕生日にゆうちゃんが何かくれるなら、なんだって嬉しい。


高いブランド物の服とかより、ずっと。


それがきっと、友達なのかもしれない。


私はそれが嬉しくて、改めてもう一度言った。


「お誕生日、おめでとう。」
< 96 / 161 >

この作品をシェア

pagetop