お嬢様 × 御曹司
「いや〜流石にその時は焦った。」


ゆうちゃんのお母さんが作ってくれたケーキを食べながらゆうちゃんがはなしてくれてるのは、この間の大会の話。


準決勝での出来事だって。


たまたま足が滑って、相手に隙を見せちゃったんだって。


そしたらそこを狙われそうになって…


「我ながらうまく切り替えして、一本とったのよ。」


「ゆうちゃん、やっぱすごい!」


かなり無理な体勢だったらしいし、体を痛めなくてよかった。


元気なまま決勝に出て、決勝はらくらく買ったって。


やっぱり、組み合わせによっては強い人同士が準決勝で当たってしまう場合もあるらしい。


スポーツの世界って大変だよね。


私よくわからないけど…


「…。」
「…。」


そんなこんなで話しているうちに、話が一区切りついて無言になる。


こういう時は大体ゆうちゃんから話してくれるから、私はいろいろ考えながら待ってる。


例えば、ゆうちゃんの入れてくれた紅茶が美味しい、とかね。


花には劣るけど、素人でここまでってなかなかだよ。


「あのさ、聖夜。」


ほら、話しかけてくれた。


けど、いつもと声のトーンが違くて首をかしげる。


「一個、聞いてもいいかな?」


「何?」


ゆうちゃんはいつもの元気さとは裏腹に遠慮がちに口を開いた。


だから、なんの話か私にも想像がついた。


心構えをして次の言葉を待つ。


「もう今の中になったから聞くけど、武士となんかあったの?」
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