お嬢様 × 御曹司
それは、私を心配してくれたから出た質問だ。


私はそのことがまずは嬉しい。


だけど、今テンパっているのも確か。


「武士も最近剣道でミスばっかだし、聖夜は聖夜で武士の話出さないし…お節介なのはわかってるけど、もう限界。」


ゆうちゃんは、私の両手を握って、私の目をまっすぐ見ていった。


ゆうちゃんの目は、いつものまっすぐ前を見つめている目。


私に、本当のことを話して欲しいという願いが伝わってくる。


「無理して笑ってるのバレバレだよ?」


「っ、」


私はうつむきたいけど、ゆうちゃんの目からは逃げられない。


私は、この目が好きだから。


たけくんと同じ、武士(ぶし)の魂の宿った瞳。


それに、ゆうちゃんが好きだから。


「…聞いて、くれるの?」


心の中でまだ整理のつかなかったことたちを、私はゆうちゃんに聞いてもらおうと思う。


すると、ゆうちゃんはにっこりと笑って、いつもの声のトーンに戻って、


「もちろんだよ!」


と元気よく言った。


私はその言葉に背中を押されて、すべてをはなしだした。
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