お嬢様 × 御曹司
ほぼ全て話した。


私がたけくんを好きになったときのこと、誘拐されたときのこと、たけくんが助けてくれたこと、たけくんと初詣に行ったこと、たけくんと手をつないだこと、たけくんとこのお店に来たこと…。


「それで、お会計の時、私は外に出てたじゃない?」


うんとゆうちゃんの相槌を確認してから話す。


「それで、彼女じゃないってたけくんが否定した。それはまあそうだから、よかったんだけど、たけくんは、好きじゃないって。」


私は手を強く握る。


「たけくんは私のことが嫌いなのに、一緒にいてくれたってことに気が付いたら悲しくなって、あのまま逃げ出しちゃったんだ。」


「え⁈」


えって、私今なんか驚かせるようなこと言った?


黙って話を聞いてくれてたゆうちゃんがこんなに大きな声を出すなんて。


私が逃げたのはゆうちゃんも見てたはずだけど…


「聖夜…何言ってるの?」


「え?」


今度は私が驚く番だった。


「武士は、聖夜のこと嫌いだなんて言ってないよ。それに、好きじゃないっていうのは…」


ゆうちゃんの言葉に耳を傾ける。


思いもよらない言葉がそこから飛び出した。


「武士が好きじゃないって言ったのは、聖夜が武士をだよ。」
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