「君へ」 ~一冊から始まる物語~


それで今日、こうして手紙を書くことを決め、置きにきた。

誰がいつ頃書いたのかも分からなくて、届くのかも分からないのになぜか私には届く気しかなかった。

約束の午前9時30分。私はいつもこの時間の授業は出ていない。

むしろ私がいない教室をみんな清々しく感じていることだろう。

私はその本に手紙を挟み、違う本へと手を掛けた。

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