「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「そういえば他の生徒会メンバーの紹介をしてなかったね。」
「えっ?私たちに教えちゃっていいんですか?」
生徒会のメンバーのフルネームを全員知る事は普通の教師ですら無理かも知れない。
だから私たちが驚くのも無理はなかった。
「そうそこで、貴方たちに頼みたいことがあるんだ。」
そう言って衿基会長は私たちに話しはじめた。
生徒会の手伝いをして欲しいこと
いわゆるスパイみたいなものだということ
問題騒動を起こした奴を報告すること
それを私たちにやってもらいたいらしい。
「もちろんタダでとは言わないよ。昼休みの生徒会室の出入り自由だし、僕たちも力になったり、話し相手になったりするよ。」
それは私たちには願ったり叶ったりだった。
「だから頼めないかな?」
私たちはふたつ返事でOKした。
「ほんとに助かるよ。」
そう言って笑った衿基会長の顔はお兄ちゃんそっくりだった。