「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「えっと、メンバーの紹介をするね。入ってきていいよー。」
そう衿基会長が言うと、生徒会室と扉1枚で繋がっている隣の会議室から4人ほど出てきて私と晴の前に立った。
「やっとっすか会長ー。」
「もう待ちくたびれたましたよー。」
「はいはい。じゃあ、
右から3ーAの副会長の小鳥遊 稜秦(たかなし りょうしん)
その隣が2ーDの副会長の小崎 唯都は知ってるか。
で、2ーCの書記の五十嵐 莉樹(らいき)
1ーFの書記の海原 海麗(うなばら かいり)
最後が、3ーEの会計の土呂 夛成来(つちろ たなく)ね。
ちなみに海麗は男の制服を着てるけど正真正銘の女の子だから。」
衿基会長は紙に漢字をかきながら教えてくれた。
私は生徒会メンバーをフルネームで覚えられないのは、特殊な名前のせいだろうと思った。
夛成来先輩なんて絶対に読めないし、書けない。
「俺達の事は名前で呼んでよ。」
そう言ったのは、たかな...稜秦先輩だった。
「そうそう俺達も玲波ちゃんと晴ちゃんって呼ぶからさ。」
と、莉樹君がいってくれた。
「ほんと先輩方馴れ馴れしくし過ぎです。ごめんなさいね。よろしくお願いします。玲波先輩。晴先輩」
私たちは呼ばれたことない呼び方で呼ばれたのでなんかくすぐったかった。
「おい、夛成来も挨拶しろよ。」
「俺は部外者に頼むなんて反対だ。」
「ごめんな。夛成来、気は難しいが根っから悪いやつじゃないんだ。」
そう莉樹君に言われたが、私は既にわかっていた。
何かを真っ直ぐに見つめているその目は悪い人には思えなかった。
春稀、天国のお兄ちゃん。大切な仲間が増えたよ。