「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「夛成来先輩?」
「ごめん、何でもないんだ。ただ君が亡くなった妹にそっくりだから。
それとね、多分君が言ってるはるきと俺は別人だよ。俺はペンネームで春稀を使っているんだ。」
そう言ってさっき書いていた紙を見せてもらった。
それは本だった。
その本には小説が書いてあった。
「俺、小説家なんだ。妹の事を世の中の人に忘れて欲しくなくて、今この話を書いているんだ。」
少し読ませて貰ったその本はあの本と少し似ていたが少し違った。
「この小説を書いていたら妹にもう1度逢える気がしたんだ。そしたら君たちがやってきた。」
そう言って夛成来先輩はゆっくり話し始めてくれた。