「君へ」 ~一冊から始まる物語~
俺は息が出来なくなった。
「玲波ずっと悩んでたんだ。なのに俺が追い討ちかけちゃったんだ。俺が...俺が...」
そう言いながら青兄は泣いていた。
綺麗な涙だった。
俺はその涙を今でも忘れられない。
「しゃんとしろ青波!まだ近くにいるはずだ探すぞ!」
「玲波ならあのT字路じゃね?あそこに飛び出すつもりなんじゃ...」
何故か俺はそこに玲波がいると思った。
それをきくと青兄は一目散にベランダから木をつたって下に降りて走っていった。
そんな青兄の背中を俺達も追った。