「君へ」 ~一冊から始まる物語~
俺はその日兄貴と話し合ってから母さんと父さんに頼みに行った。
「父さん、母さん。お願いがあるんだ。」
兄貴が切り出してくれた。
「玲波をうちで引き取りたいんだ。」
父さんと母さんはびっくりした顔をしなかった。
むしろ分かっていたかのような顔をした。
「まだ中学生だからお金がかかるのはわかってる。俺と兄貴が頑張ってバイトもするから。」
「玲波、学校でもいじめられていたんだ。俺達で守ったけどダメだった。青波も...こんな事にはならなかったのに...」
兄貴は事故の後初めて泣いていた。
父さんと母さんもつられたのか目に涙を浮かべていた。