「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「顔を上げなさい都、唯。男の子が簡単に土下座するもんではありません。」
母さんが俺達を軽く叱った。
「でも男の子として女の子を守る事はとても立派なこと。」
「金のことは気にするな。1人ぐらい増えても平気だ。」
父さんも母さんに続いて言ってくれた。
「ほんとにいいの?」
俺はあまりにことが順調に行き過ぎるのでもう1度きいた。
「前から玲波ちゃんの事は父さんも母さんも気にしてたんだ。」
「そうそう。玲波ちゃんを引き取って引越ししましょう。」
俺達は目がまん丸になった。
引越しまで考えてくれていたなんて。
「玲波ちゃんにはのびのび育ってもらわなくちゃ。」
「心配かけないようにしないとな。」
俺達はこの時自分の親の偉大さを改めて感じた。
そして俺達は玲波と家族になった。
俺はその時決めた。
何があってもこいつを、妹を守るって。