「君へ」 ~一冊から始まる物語~
『キーンコーンカーンコーン』
いろいろな事を考えているうちに午前の授業が終わってしまった。
すると背後から聞き覚えのある声がした。
「やっぱりここにいた。てか朝の態度酷すぎだろ。」
なぜか唯都にはどこに居ても見つけられてしまう。かくれんぼなんか瞬殺だ。
「唯都が学校で話しかけてくるからじゃん。というかもう少し探し回った感出してよ。」
唯都の額には夏だというのに汗が滲んですら無かった。
「バーカ。何年一緒にいると思ってるんだよ。」
「それもそうだけどさ...」
私たちは生まれた時からずっと一緒。もしかするとそれ以前かも知れない。