「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「ねぇ晴今日晴の家泊まってもいい。」
急な私のお願いに少し驚いていたが、何かあったのだろうと察しがついたみたいだった。
「今日お父さんもお母さんも帰って来ないから大丈夫だけど、ご飯私が作るよ?」
晴の料理の腕前はけして上手と言えるものではなかった。
「私が何かつくるよ。」
私は今はただ単に唯都と平然と顔を合せられる自信がなかった。
晴もやっぱりただ事じゃないと分かってくれたみたいで、いいよと言ってくれた。