「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「えっ?」
「それにもう思いも伝えてあるんだ。」
「い、いつ。」
「さあ?」
今日の晴はいじわるだった。
「安心して、つき合ってないから。」
それは『振られた』ということを言っているのだろう。
「でも決めたんだ。玲ちゃんを応援するって。
だから私の事は気にしないで、兄妹なんて気にしないでぶつかって行けばいいと思う。」
私は晴の優しさに甘えてばかりだなと改めて実感した。
「はるー」
「泣き虫だな玲ちゃんは。」
晴は笑いながら私の頭をずっと撫でてくれていた。
空にはいつの間にか太陽が登っていた。