「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「じゃあまた明後日ね。」
晴は駅まで私を見送ってくれた。
「うん。ありがとう晴。」
「バイバイ玲ちゃん。」
「バイバイ晴。」
そう言って私たちは別れた。
私は揺れる電車の中考えた。
そしてあの本が終わるまで唯都に気持ちは伝えないと決めた。
唯都が私のためにしてくれた事を無かったことにはしたくないからだ。
春稀は春稀として文通をしていきたい。
それが私の本心だった。
いつものように帰るだけの家なのに何故か足元がふわふわした。
『帰ったらいっぱいお話したいな。』
天国のお兄ちゃん。私はどうやらもう小崎家が無かったら生きていけないみたいです。