「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「ただいまーっうわっ!」
「おかえり玲波!!」
「おかえり。」
家に入って、都兄が玄関で抱きついてきた。
「もう心配で心配で...」
都兄は心配症だなーと思ったが、家族になってから学校行事以外1日も離れたことないことを思い出したら納得出来た。
「心配かけてごめんなさい。」
都兄は私に謝ってほしくなかったみたいで、
「ごめんごめん。どう?楽しかった。」
と聞いてくれた。
「夜遅くまで晴と話したんだー」
私は自慢げに言った。
「良かったじゃん。」
そう言って都兄は大きな手で私の頭を撫でた。
都兄とは目をあわせて話せた。
「何話したんだ?」
「女の子の話だから唯都にはわかんないよ。」
やっぱり意識しちゃって唯都とは目を合わせられなかった。
「今日は私が家事全部やるから都兄たちは休んでて。」
私は昨日のお詫びのつもりで言ったが、
「1人じゃ大変でしょ。」
と、断られてしまった。
だからせめて夜ご飯はごちそうにした。