「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「どうしたの?玲波の声が聞こえたけど。」
「あっ都兄。おはよう。見て!!これ!!お母さんたちから。」
そう言って私はポストに入っていた手紙を都兄に渡した。
「珍しいな何もない時に普通の手紙が来るなんて。」
都兄の言う通りだった。
お母さんたちは何か年中行事の時に電報を送るぐらいで、ちゃんとした手紙が来るのは誕生日ぐらいだった。
都兄はぎこちない手つきで手紙を開けた。