「君へ」 ~一冊から始まる物語~
家の近くの病院はあの時の病院だった。
私はあの事故以来病院に行こうとすると過呼吸が起きるので近づくことが出来なくなっていた。
唯都が心配だったが私まで倒れたら元も子もないので、大人しく車で待つことにした。
「そうだ!2時間前ぐらいに市販薬のませたから。」
「わかった伝えとくよ。」
そう言って2人は病院の中に入っていった。
数10分頃都兄に支えられて唯都が出てきた。
「お医者さん何だって?」
「疲労からくるものだって。よっぽど寝てなかったみたい。」
「私のせいだ...」
「玲波のせいじゃないよ。弟の体調に気づけなかった俺が悪い。」
そう言って私たちは家まで無言で帰った。