「君へ」 ~一冊から始まる物語~
私は家に着くとすぐに夕飯の準備をした。
もちろん唯都用にお粥も作ろうと思った。
都兄は唯都を部屋に運ぶとコンビニへ買い物に向かった。
お粥がいい具合に出来た時に都兄が帰ってきた。
都兄が持っている袋の中には冷えピタと、ゼリーと、体拭きシートが入っていた。
「お粥美味しそうだね。」
「少し味見してみて。」
そう言って私はお粥の乗ったスプーンを都兄に差し出した。
すると都兄はそのまま手を使わずにパクッと食べた。
私は突然の出来事に固まった。
「すごくおいしいよ!俺も夕食お粥でいいよ。」
私は都兄の言葉で解凍された。
「いいの?お腹に溜まんないかもよ。」
「いいよ。俺玲波が作った物なら何でも好きだし。」
私は嬉しくなった。
「わかったすぐ作るね。」
そう言って私は今度は少し味を濃いめに都兄の分を作った。
「都兄明日大学確かあったよね。」
「あるよ。」
「私たち明日休むから都兄は唯都のこと私に任せて、勉強に専念して。」
「でも...」
「大学は出席率が命でしょ?」
「ごめんお願いしていい?高校に電話しておくから。」
「うん。よろしく。」
私はいくら落ち着いたといえ、また学校で変な噂になったら唯都に迷惑がかかるなと思ったので、衿基会長に事情を説明しようとメールをした。
ーーー了解。伝染らないように気をつけて。ーーー
私は衿基会長から返信が返って来たのを確認して少し冷めたお粥を持って唯都の部屋に向かった。