「君へ」 ~一冊から始まる物語~
おデコに付けた冷えピタはもう役割を果たしていなかったので新しいのに変えた。
私は一旦唯都の部屋を離れ、残りの家事を終わらせ、自分のことも終わらせた。
その後もう一度唯都の部屋に入ると苦しそうに悶えながら汗を欠いている唯都がいた。
「うそ?!」
また意識が朦朧としてきたのか会話が出来なかった。
私は家にあるありったけの保冷剤で唯都を冷やした。
汗をかいたTシャツは冷えるといけないので頑張って着替えさせた。
その時私はあまりの衝撃に持っていた体拭きシートを床に落としてしまった。
唯都はプールに入る時、必ず上の水着も来ていた。
それが女子にはショックだったらしい。
私は何か理由があるのだろうと深くきかなかった。
この前の海もTシャツを決して脱がなかった。
その真実はこの大きな傷のせいだったんだとようやく答えにたどり着いた気がした。