「君へ」 ~一冊から始まる物語~

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「どうだー調子は。」

玲波が下に降りるのと同時に兄貴が入ってきた。


「だいぶ平気みたい。」

「でも今日は学校休めよ。玲波も休むらしいから。」


俺は兄貴と会話している時あることに気づいた。


「なぁ兄貴俺の事着替えさせてくれた?」

「いや?」


俺は兄貴の返事で取り返しのつかないことをしてしまったことに気づいた。


「どうした唯都。」

「背中の傷痕玲波に見られたかも。」

「どうするんだ。」

「適当に誤魔化す。」

「家族なのにか?」

「家族だからだ。」


俺はこの傷痕が玲波のせいだとは思わせたくなかった。


「そう言えば玲波。駅で意識が朦朧としていたお前に口移しで薬飲ませたらしいよ。駅員が教えてくれた。」


兄貴は最後に余計なことを言って「いってきます」と出ていった。



俺は1人残された部屋で自分の唇をなぞった。

応急処置とはいえ悪いことをしたなと謝ろうと俺も下に降りた。

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