「君へ」 ~一冊から始まる物語~
私は朝ごはんを食べ終わってから買い物に行こうと思っていた。
お母さんとお父さんがいつ帰ってきてもいいようにだ。
唯都に行くことを伝えると、
「俺も行く。荷物持ちいた方がいいだろ?」
「ダメだよ安静にしないといけないってお医者さんに言われたんでしょ。」
「体動かさないとなまるし、玲波が薬飲ませてくれたお陰でだいぶ回復した。」
そう言って唯都は不敵な笑みを浮かべた。
きっと駅でのことを言っているのだろう。
「だから大丈夫。」
根拠の無い自信で言われてもなーと思ったが、ここで止めると後々変なことをいわれそうだったので
私が折れた。
確かに私も荷物持ちが居た方が楽なので、マスクを付けることと、今日は平日なので、社会人らしい服装で出かけることを条件に許した。
私は唯都とマジの買い物は初めてだった。
唯都の体調を気遣ってあまり話しかけなかった。
辛くなったら言ってねとだけ忠告して、家を出発した。