「君へ」 ~一冊から始まる物語~


学校からの帰りたまたま一緒になった唯都と帰ることになったが、お互い一言も喋らなかった。

電車でも私を座らせ、前に立つ位置は変わらなかったが、お互い目を合わせることはなかった。

家の前に着くと誰も居ないはずなのに電気が付いていた。

私たちは久しぶりに目を合わせた気がした。

2人とももしかしてと思い、急いで家の中に入った。


「ただいま。」
「ただいま。」


「おかえり。」
「おかえりなさい。」


家の中にはお父さんとお母さんがいた。

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