「君へ」 ~一冊から始まる物語~
大事な人
すれ違い
両親が帰ってから少し寂しかったが、いつまでも両親に甘えているわけにもいかないし、都兄や唯都がいてくれたのですぐに日常に戻った。
「おはよう玲ちゃん」
「おはよう晴」
「なんか久しぶりにゆっくりと玲ちゃんと話せる気がする。」
「そう言われてみればそうな気がする。」
私と晴はクラスが違う。
なぜ義理の兄妹の私と唯都が同じクラスなのか不思議だが。
唯都が倒れたり、両親が帰ってくるので早めに帰ったりとゆっくり話すことができなかった。
「ごめんね。」
「大丈夫だよ。私も少し妹の所に通ってたからね。」
「そうなんだ。」
キーンコーンカーンコーン
そんなことを廊下で話していると1時間めの始まりのチャイムがなった。
みんな慌てて席についている。
「じゃあ旧図書室行かなきゃ。」
「うん。またね玲ちゃん。」
「またね晴。」
そう言って私たちは別々の方向に歩き出した。