「君へ」 ~一冊から始まる物語~
ハァハァ
下駄箱で待っててくれていた晴にものすごく謝った。
ただならぬ私の様子に
「早く行きな。玲ちゃん。」
と言って送り出してくれた。
私は心臓が、破裂するんじゃないかというぐらい走った。
いつも見ている景色が少し輝いて見えた。
今ならどこまでも走れる。そんな気がした。
早く唯都に逢いたい。
早く私の気持ちを伝えたい。
私はいつから自分がこんなに欲張りになったんだと思った。
きっと春稀が唯都が私を変えたんだ。そう思ったら笑みがもれた。
「唯都!!!!」
私は歩道橋から大通りの歩道にいる唯都を見つけた。
唯都は私の声に振り向いた。
私は走って唯都のもとに向かった。