「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「落ち...着け...玲波...」
「喋っちゃだめだよ。」
「今度は...逆か...」
「何言ってるの??」
「いや...玲波...ごめんな...っ俺のせいで...」
唯都はそう言って痛みに顔をしかめた。
私は首をぶんぶん横に振った。
「俺の...ことは...気に...しない...で...幸せに...なって...ほしい...」
そう言って唯都はブラックアウトした。
「やだよー!唯都とじゃないと私幸せになれないよ!お願い目を覚して!!!」
私は唯都を動かさない程度に叫んだ。
「嬢ちゃん!今救急車呼んだからな!!」
優しいおじさんが私に話しかけてくれたが、私の耳にははいらなかった。
きちんと入ってきたのは救急車のサイレンの音だった。