「君へ」 ~一冊から始まる物語~


私は次の日唯都と一緒に学校を休んだ。


事件は学校のすぐ側で起き、全国ニュースにもなったため、理由を咎める人はいなかった。


都兄も大学を休み兄妹全員無言で1日病室で過ごした。




そして運命の3日目。

この日を越えれば命にかかわることはなくなるらしい。


しかしそれは起きてしまった。


「先生!心拍数落ちてます!」

「血圧低下!急いで!!」


唯都の病室は戦争が起きたかのような騒々しさだった。


正午を過ぎた当たりから、唯都の病状が悪化した。



ピンコン ピンコン


唯都と繋がっている機械がいつものような規則的な音より、危機感を感じさせる音を鳴り響かせた。


私は急いでナースコールを押した。

苦しそうに見える唯都を私たちは


「頑張れ唯都。頑張れ頑張れ。」


と願うことしかできなかった。


< 215 / 254 >

この作品をシェア

pagetop